2025-06-10
不動産をはじめとする財産の相続対策は、いずれ被相続人となる方が生きている間におこなっておくのが望ましいです。
家族信託とは、そのような生前におこなえる相続対策のひとつになります。
今回は、家族信託とは何か、相続対策として家族信託を活用するメリットとデメリットについてご紹介します。
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相続開始後に財産を処分しようとすると、さまざまな法的・手続き上の制約に直面することがあります。
そのため、相続がスムーズに進むように被相続人の生前から準備を進めていくことが大切です。
家族信託とは、そのような相続対策の一環として活用できる財産管理手法のひとつです。
家族信託では、不動産などの資産を所有する方が特定の目的に従い、家族に資産の管理や処分を任せる契約を結びます。
財産の管理を任せる方を委託者、任される方を受託者と呼び、両者の間で交わされる契約が信託契約です。
管理される財産は信託財産と呼ばれ、信託財産を処分したときに利益を受け取る方を受益者と呼びます。
家族信託においては、委託者と受益者は同じ方になることがほとんどです。
管理を委託する特定の目的には、老後の生活に必要な資金の捻出や管理などが挙げられます。
家族信託は、近年少しずつ認知度が高まってきた財産管理の手法です。
注目されるようになった背景には、高齢者の増加と認知症の問題があります。
認知症を発症し症状が悪化して判断力が低下すると、銀行の口座を凍結されるため、実子であっても親の財産の管理が難しくなるのです。
これにより、親の介護や施設への入所でお金が必要になっても、親の財産から賄えなくなります。
年齢が上がるにつれて認知症のリスクは高まるため、相続対策を兼ねて財産を管理しやすい状態にしておくことが望ましいです。
家族信託は、家族が財産を管理できるようになるため、認知症や相続に対する有効な対策となります。
家族信託の利用を検討しているときは、家族間でさまざまなポイントを話し合っておく必要があります。
そのポイントとは、信託財産に該当するのはどの財産なのか、誰が受託者になるのか、信託を結ぶ目的は何か、などです。
本人が所有している資産であれば、その一部でもすべてでも信託財産として指定できます。
受託者を決めるときは、委託者の方の意思をどれだけ尊重して財産を管理してくれるかが重要です。
また、受託者が財産を適切に管理するための指針となることから、信託の目的は明確に定めておくことが重要です。
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家族信託が相続対策として選択されるのは、さまざまなメリットがあるためです。
とくに、家族信託が相続対策として選択されるときは、成年後見制度との比較による理由が多いでしょう。
家族信託のメリットは、成年後見制度よりも柔軟な財産管理をおこなえることです。
成年後見制度には法定後見人であれば本人が認知症になっても選任できるメリットがありますが、財産の運用に関しては制約が多くなっています。
本人の財産を守ることが重視される成年後見制度では、本人の財産を用いた投資などはおこなえません。
また、成年後見制度では毎年家庭裁判所に報告をおこなう義務があり、後見人の負担が大きいです。
家族信託であれば、投資への活用など柔軟な財産管理が可能になり、積極的な資産運用をおこなえます。
家族信託のメリットは、信託契約の内容に遺言効果を期待できることです。
次に財産による利益を受けられる財産権を得る方を指定しておけば、法律上遺言をするのと同じ効果が認められます。
通常の遺言では自分の次の世代までしか後継者を指定できませんが、家族信託では2次相続以降の財産承継についても指定できるのがメリットです。
承継者を決めておけば、相続が発生したときに相続人同士で遺産分割協議を実施する必要がありません。
そのため、家族信託の遺言効果は相続対策としても効果があるのです。
遺産分割協議は何らかのトラブルが発生するとスムーズに進まなくなるため、事前に対策しておくと良いでしょう。
家族信託を活用した相続対策には、相続人同士でハイリスクな不動産を共有することになる事態を避けられるメリットがあります。
収益不動産を共有していると共有者全員が家賃収入などを受け取れますが、誰か1人が認知症になると契約がストップし収益不動産が凍結するリスクがあるのです。
不動産の賃貸借契約や大規模な修繕には所有者全員の意思が必要ですが、認知症になるとその判断を下せません。
家族信託を活用し、他の共有者の方が管理を1人の方に委託すれば、そのようなリスクを避けられます。
なお、仮に受託者の方が破産したとしても、信託財産については差し押さえの対象にならない点もメリットです。
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家族信託にはさまざまなメリットがあるものの、デメリットもいくつか存在します。
とくに、委託者になる方や周囲の親族とのトラブルにならないよう十分気を付ける必要があるでしょう。
家族信託のデメリットは、受託者を誰にするかで争う可能性があることです。
財産の管理を受託した方は、該当の財産に対して大きな権限を持つことになります。
兄弟姉妹のうち1人だけが受託者になり財産を管理することになると、管理の内容を知らされなかった方から不満が出る可能性も高いです。
状況によっては「受託者が勝手に財産を使い込んでいるのでは?」と疑いをかけられてトラブルになることもあります。
そのため、家族信託を始める前には家族や親族とよく話し合い、受託者を誰にするのか、どのように財産を管理するのかを決める必要があるでしょう。
親族間の不公平感につながりやすいのが家族信託のデメリットと言えます。
家族信託のデメリットは、知名度が低く委託者になる予定の方に認識されていない可能性があることです。
そのため、相続対策として信託の話を持ちかけても「よく分からない制度だから」と契約の同意を得られない可能性があります。
家族信託はあくまでも委託者の意思によって成り立つ契約であるため、受託者候補の一存で進めることはできません。
そのため、相続対策として家族信託を利用したいときは、委託者になる方に制度についてしっかり説明して同意を取る必要があります。
契約の同意を取るまでに手間がかかる点が大きなデメリットになるでしょう。
家族信託のデメリットは、相続対策はできても直接的な節税対策にはならないことです。
家族信託では、不動産など信託された財産の名義が受託者に移転します。
これは、財産を処分するときは名義人本人しかおこなえない手続きがあるためです。
ただし、財産権は委託者のもとに残るため、実際に相続が発生して財産権が承継されると通常どおり相続税が発生します。
また、家族信託による財産承継であっても、ほかの相続人の方から遺留分を請求される可能性があるのもデメリットです。
財産の配分について、相続人同士でトラブルにならないよう事前に話し合い、契約内容をよく検討する必要があります。
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家族信託とは、家族間で財産の管理を依頼する相続対策のひとつです。
家族信託には、財産を柔軟に管理でき遺言効果が期待できるメリットなどがあります。
一方で、家族信託を実施する前には家族間でよく話し合う必要があり、相続税に対する節税効果が少ないなどのデメリットもあるため注意しましょう。
西宮不動産売却サポート メディア編集部
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