共有名義でも使える?相続空家の特例について解説

2025-07-01

共有名義でも使える?相続空家の特例について解説

相続によって取得した空き家を売却する際には、条件を満たすことで税負担を軽減できる特例があることをご存じでしょうか。
とくに、共有名義でも相続人ごとの持分に応じて申請できる点はメリットとなります。
また、小規模宅地の特例とあわせて利用できるケースもあり、賢く活用すれば節税効果が期待できるでしょう。
この記事では、相続空家の特例の概要や、併用できる条件などについて詳しく解説していきます。

\お気軽にご相談ください!/

相続空家の特例とはどのようなものか

相続空家の特例とはどのようなものか

近年、空き家の増加が社会問題となるなか、相続に関する税制も注目を集めています。
とくに、相続した空き家を売却する際に利用できる「相続空家の特例」は、多くの方にとって大きな節税効果が期待できる制度です。
しかし、この特例には適用のための厳格な条件があり、とくに共有名義での相続となると注意すべき点が増えます。
まずは、「相続空家の特例」とは何かを中心に、その内容と注意点について詳しく解説します。

3,000万円

相続空家の特例では、被相続人が住んでいた家屋や敷地を売却した場合、相続人が1人または2人なら譲渡所得から3,000万円、3人以上なら2,000万円を控除できます。
この控除額は通常の特別控除より大きく、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。
控除額は、相続人それぞれに対して適用されるため、合計で大きな節税になる点も見逃せません。
控除は譲渡所得の計算上、取得費や譲渡費用を差し引いた後に適用されます。
たとえば、譲渡益が1,000万円なら税率20.315%の場合、約203万円の税額が控除でゼロになります。
このため、譲渡益が控除額未満であれば、所得税・住民税は原則としてゼロになるのです。

令和6年1月1日

令和6年1月1日の改正では、相続人が3人以上の場合の控除額を2,000万円に減額し、譲渡後でも翌年2月15日までに取壊しまたは耐震改修をおこなえば要件を満たすとし、適用期限を令和9年12月31日まで延長しました。
改正前は譲渡前の取壊しが必須だったため、買主が解体費用を負担する取引は難しいとされていました。
共有名義の場合は、従来どおり全相続人が持分をまとめて譲渡する必要があります。
改正に伴い、取壊しや耐震改修の実施を証明する書類を保存する義務も明確化されたため、工事契約書や領収書は大切に保管してください。

適用要件

特例の適用には、被相続人が一人暮らしであった旧耐震基準の家屋を相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却し、遅くとも譲渡の翌年2月15日までに取壊しか耐震改修をおこなうことが必須です。
なお、築年数は昭和56年5月31日以前の建物が目安となる点も覚えておきましょう。
共有名義では全員の合意が前提となり、譲渡所得の申告時に住民票や登記事項証明書など必要書類を揃える必要があります。
なお、譲渡対価が1億円以下であることも条件に含まれます。
とくに、住民票や登記事項証明書など、提出書類は多岐にわたるため、事前に税務署や専門家に確認しておくようにしましょう。
適用可否の判断は複雑なため、早い段階で税理士や不動産会社に相談し、スケジュールとコストを把握しておくと手続きが円滑です。

▼この記事も読まれています
相続時精算課税制度とは?事前に押さえたいポイントを解説!

\お気軽にご相談ください!/

相続空家の特例は共有名義の物件にも適用できることについて

相続空家の特例は共有名義の物件にも適用できることについて

近年、空き家問題が深刻化する中で、国は相続された空き家の有効活用を促す施策として「相続空家の特例」を設けています。
この制度は、売却時の税負担を大きく軽減するもので、広く活用されていますが、共有名義の物件でも適用できるかという疑問を持つ方も少なくありません。
ここでは、共有名義で相続された空き家について、この特例がどのように適用されるのかを詳しく解説します。

共有物件にも

共有名義でも要件を満たせば特例を受けられますが、各相続人が自身の確定申告で申請し、共有者全員の同意書や持分を示す書類を準備するなど、単独名義より手続きが複雑です。
全員が同一年分で申告しないと、控除が認められないケースもあります。
このため、確認事項や署名日程を共有し、早めに段取りを決めておくと安心です。
全員で集まることが難しい場合は、代表相続人に手続きを委任する旨の委任状を作成しておくと手間を省けます。

3人以上

相続人が3人以上の場合、控除額は各2,000万円に減り、誰か一人が反対すると売却が進まず適用期限を過ぎるリスクが高まるため、早期に全員の合意形成が欠かせません。
手続きが停滞しないよう、家族会議のほかオンラインミーティングなど柔軟な方法を活用しましょう。
合意までに時間がかかると、建物の老朽化が進み解体費用が増大するおそれもあるため、タイムリミットを意識した協議が重要です。

相続人同士

共有名義では意思の不一致や連絡不足が障壁となりやすいため、相続開始後早めに話し合いをおこない、必要に応じて専門家を交えて調整することが成功の鍵です。
信頼関係を保ちつつ情報を共有し、手続き遅延を防ぎましょう。
コミュニケーションツールを利用して進捗を可視化すると、誤解を防ぎやすくなります。
意見が割れる場合は、税ADR機関を活用して仲裁を受ける方法もあります。

▼この記事も読まれています
【2024年度版】相続した不動産を未登記のままにするデメリットとは?

\お気軽にご相談ください!/

相続空き家の特例と小規模宅地の特例が併用できるケースについて

相続空き家の特例と小規模宅地の特例が併用できるケースについて

近年、相続によって取得した不動産に対する税制優遇措置として、「相続空家の特例」や「小規模宅地の特例」が注目を集めています。
これらは、それぞれ異なる趣旨で設けられた制度ですが、一定の条件を満たすことで併用することも可能です。
最後に、共有名義で空き家を相続する場合において、これらの特例をどのように併用できるかについて詳しく解説します。

小規模宅地

小規模宅地の特例は、被相続人が居住や事業に使っていた宅地の評価額を最大8割減額できる制度で、都市部での相続税負担を大幅に抑えます。
被相続人が老人ホーム入所中でも、元の住居を処分していなければ適用される場合があります。
評価が大幅に下がることで、現金納付が難しい場合の物納や延納を回避できるメリットもあるのです。
居住用宅地の対象面積は330㎡までで、超過部分は原則として一般評価になる点に注意してください。

条件

併用を目指す場合は、まず相続税申告で小規模宅地の特例を適用し、一定期間居住したうえで売却時に相続空家の特例を申請する流れが一般的です。
居住期間の明確な規定はありませんが、相続税申告期限まで居住実態を示せるよう備えておくと安心です。
併用の可否は、物件の所在地や評価額によって左右されるため、早期に税理士へ試算を依頼すると計画が立てやすくなります。
なお、相続空家の特例を使う場合には売却前に建物を解体するか耐震基準を満たす必要があり、工期の遅延が併用計画に影響することがあります。

申告期限

制度の適用には、それぞれに設けられた申告期限を守ることが大前提となります。
とくに、小規模宅地の特例については、相続税の申告期限である「相続開始から10か月以内」に申告をおこなうことが条件となっており、これを過ぎると適用が認められません。
さらに、共有名義で相続した場合、各相続人がそれぞれの申告を適切な期限内におこなう必要があり、他の相続人の動向にも影響を受けます。
そのため、事前に全体のスケジュールを共有し、書類の準備や意思確認を早めに進めておくことが制度の円滑な併用につながります。

▼この記事も読まれています
負動産とは!?相続してしまった場合の対処法!不動産売却か?相続放棄か?

まとめ

相続空き家の特例は、一定条件を満たすことで最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は各2,000万円)の譲渡所得控除が受けられる制度です。
共有名義でも適用可能ですが、控除額の変動や全相続人による譲渡合意、期限内の手続きが前提となります。
また、小規模宅地の特例と併用できる可能性もありますが、居住実態など個別条件の確認が不可欠です。

西宮不動産売却サポートの写真

西宮不動産売却サポート

西宮不動産売却サポートは、西宮市を中心に地域密着型の不動産サービスを提供しており、これまで多数の不動産売却をサポートしてきた実績があります。豊富な経験と確かな知識を活かし、お客様一人ひとりの状況やご希望に寄り添った丁寧な対応を心がけております。
不動産の売却は、人生の中でも大きな決断のひとつです。当社では、誠心誠意をモットーに、初めての方でもわかりやすく、納得いただけるご提案とサポートを大切にしています。地域の市場動向を熟知したスタッフが在籍し、的確なアドバイスでスムーズな取引を実現いたします。
コラムでは、西宮市で不動産売却をご検討の方に向けて、実際の相談事例や現場の声をもとに、役立つ情報をわかりやすくお伝えしています。ご不安な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆さまの大切な資産が最善のかたちで活かされるよう、誠意を込めてお手伝いさせていただきます。


ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

0798-42-8559

営業時間
10:00~18:00
定休日
水曜日

売却査定

お問い合わせ