2025-07-08

親の持っていた財産を遺産として引き継ぐ場合は、さまざまな公的手続きが発生します。
親名義の土地を正式に自分の所有物とするために、必要な名義変更など流れを把握しておくと良いでしょう。
そこで今回は、親名義の土地を相続する手続きの流れと、名義変更をしないリスクについて解説します。
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遺産相続では、たくさんの手続きが発生するため、あらかじめ流れを整理しておくことが大切です。
ここでは、親名義の土地を相続する流れを、4つのステップに分けて解説します。
はじめに、遺産を相続する権利のある相続人の確認が必要です。
遺言書がない場合、相続人は法定相続人の順位によって決まります。
被相続人の配偶者は、必ず相続人となります。
配偶者に加え、第1順位の法定相続人、いなければ第2、第3順位の法定相続人が順番に相続人となるルールです。
第1順位の法定相続人は子どもや孫、第2順位は親、祖父母、第3順位は兄弟姉妹と定められています。
被相続人に、1人でも子どもや孫がいる場合、親や祖父母、兄弟姉妹は相続人になりません。
相続人の権利は、戸籍謄本などの公的書類で判断されるため、事実上の関係性などは考慮されません。
ほかの家族と疎遠になっている、前妻との子どもなども相続人になるため、見落とさずに把握しておく必要があります。
親が遺言書により、どの遺産を誰に相続させるかを決めている場合は、そのとおりに相続を進めます。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。
遺産分割協議を成立させるためには、全員の同意が必要です。
遺産分割協議で決まった内容は遺産分割協議書に記し、相続人全員が署名押印をします。
遺産分割協議により、親の土地を相続することが決まった方は、土地の名義変更をする必要があります。
土地の名義変更では、以下の必要書類の準備をしましょう。
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親名義の土地を相続する場合に、名義変更をすることを「相続登記」と呼びます。
ここでは、相続登記の基礎知識として、2024年の法改正、名義変更にかかる費用、救済策に分けて解説します。
2024年4月1日の法改正により、親名義の土地を相続する場合の名義変更が義務化されました。
相続人が不動産を相続してから、3年以内に申請することが義務付けられています。
義務化の背景には、「所有者不明土地」の社会問題が関係しています。
所有者不明土地とは、所有者がわからない、もしくは連絡が取れない土地のことです。
所有者不明土地には、公共事業の妨げになったり、ゴミの不法投棄や不法占有者などのトラブルの原因になったりするリスクがあります。
相続登記されていない土地が多いことは、所有者不明土地問題の原因のひとつであるため、今回の法改正がおこなわれました。
土地の名義変更でかかる費用は、主に以下の3つです。
遺産分割協議がまとまらない場合や、連絡がつかない相続人がいる場合などは、法律で定められた期間内に相続登記ができないケースがあります。
そのようなケースの救済策として「相続人申告登記の申出」の制度が、2024年4月に新設されています。
この制度は、相続の開始と自身が相続人である旨を法務局に申し出れば、相続登記義務を履行したとみなされるものです。
オンラインでの申出も可能で、簡易的な手続きで済ませられるため、相続人の負担を大きく軽減する制度となっています。
ただし、相続人申告登記をしても、不動産の正式な所有者とはみなされない点に注意が必要です。
相続人申告登記をした土地を売却したり、担保にしたりはできません。
正式な所有権を持つためには、正式な相続登記の申請をする必要があります。
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親名義の土地の相続後に名義変更をしないと、法律違反になるだけでなく、所有者の不利益も生じるため注意が必要です。
ここでは、3つのリスクを解説します。
相続した土地に関して名義変更をしなかった場合、まず法務局から催告がなされます。
この催告にも従わなかった場合は、10万円以下の過料が科せられるため注意が必要です。
なお、以下のような事例では、期限内に名義変更をおこなわなかった「正当な理由」とみなされるケースもあります。
名義変更をしていない土地に関しては、正式な所有権に関する主張ができません。
たとえば、遺産分割協議により、1人の相続人が親の土地を相続することに決まったものの、名義変更はしていなかったとします。
その場合、ほかの相続人が土地のうち自分の法定相続分を売却してしまったり、債権者の差し押さえにあったりしても、土地を相続した相続人は自分の所有権を主張できません。
また、相続した土地を売却したり担保に入れたりする場合も、まずは相続登記をおこなう必要があります。
相続時に登記を済ませていないと、将来的に売却の好機会を逃してしまう可能性もあるでしょう。
名義変更がおこなわれていない土地は、年月が経てば経つほど権利関係が複雑になる傾向があります。
親が亡くなった後、相続人となった子どもたちが土地の名義変更をしないまま時間が過ぎると、相続権の代替わりが起こります。
たとえば、相続人2人にそれぞれ2人の子どもがいる場合、代替わりをすれば相続人は4人に増えるでしょう。
代替わりをするたびに相続人の数が増えていき、把握が難しくなる場合があります。
前述のとおり、土地を売却したり担保に入れたりするためには、相続登記が必要です。
しかし、膨大に増えてしまった相続人全員の同意を取って、手続きをすることは困難になります。
相続した土地の権利関係が、収拾がつかないほど複雑化する前に、正式に相続登記をおこなうことをおすすめします。
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親名義の土地を相続する場合は、まず相続人を確認して遺産分割協議をおこない、名義変更の手続きをする必要があります。
相続した土地の名義変更は、2024年4月1日から義務化されており、相続してから3年以内の申請が必要です。
名義変更をしないでいると、過料を科せられたり、土地に所有権の主張ができなくなったりする場合があるため、注意しましょう。

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