相続税における更正の請求とは?必要になるケースと手続きの流れを解説!

2025-05-20

相続税における更正の請求とは?必要になるケースと手続きの流れを解説!

過去に発生した相続税に関して、自身の納付額が高く、払い過ぎたのではないかとお悩みではありませんか。
相続税の納付額は、あとから調整が一部可能であり、払い過ぎた場合には更正の請求を確認するのが有効です。
そこで今回は、相続税における更正の請求とは何か、実施するケースや手続きの流れを解説します。

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相続税における更正の請求とは

相続税における更正の請求とは

相続税における更正の請求とは何かについて、押さえておきたい基本は以下のとおりです。

手続きの概要

更正の請求とは、払い過ぎた相続税を返還してもらう手続きです。
相続税は、申告内容に誤りがあったり、遺産相続の状況に変化があったりすると、税額が変更されることがあります。
その結果、払い過ぎとなった場合、更正の請求をおこなうことで、納付額のうち過剰な部分を還付してもらえます。

手続きが可能な期間

更正の請求が可能なのは、相続税の申告期限から原則5年以内です。
相続税の申告期限は、相続の開始から10か月後です。
相続の開始時点から見ると、5年10か月以内であれば、過剰納付分の還付を請求することができます。
時間には多少の余裕がありますが、期限が定められている点には注意が必要です。

特別な事情があるケース

特別な事情がある場合、相続税の申告期限から5年が過ぎていても、還付を請求することができます。
ただし、特別な事情が発生した日の翌日から4か月以内に請求しなければならないという期限が定められています。
この期限は、相続税の申告期限から5年が過ぎていない場合にも適用されるでしょう。
特別な事情が早期に発生した場合、実際に還付請求ができる期間が短くなるため、注意が必要です。
なお、特別な事情とは、未分割の財産が分割されたり、相続人の異動があったりしたことなどを指します。
具体的にどのような条件が特別な事情として認められるのかは、事前に確認しておくことが重要です。

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相続税で更正の請求が必要になるケース

相続税で更正の請求が必要になるケース

相続税で更正の請求が必要になるケースは、いくつか挙げられます。
どのようなケースで実施する手続きなのか、参考までに確認しておくことをおすすめします。

未分割の財産が分割された場合

相続税の申告では、まず相続人同士で遺産の分割案を決める必要がありますが、申告期限までに話がまとまる保証はありません。
申告期限を過ぎると、節税に役立つ特例が使えなくなったり、ペナルティとして税金が追加されたりするため不利になります。
そのため、遺産の分割案が決まらない場合は、法定相続分を適用した仮の内容で申告を済ませることがあるでしょう。
仮の内容であっても、申告期限までに手続きを終えれば、無申告による不利益は避けられます。
ただし、税務署に申告した内容はあくまで仮のものです。
そのあと、相続人同士で話し合いを続け、正式な分割案が決まった場合は、正しい内容を改めて申告する必要があります。
仮の申告内容より税額が減額された場合は、更正の請求をおこない、過剰分を還付してもらうことになります。

相続人の異動があった場合

相続人の異動とは、相続人の数が変わることを指します。
たとえば、故人に隠し子があり、認知されていることが遺産分割後に発覚した場合を考えます。
この場合、発覚した隠し子を加える必要があり、相続人の数が当初より増えることになるでしょう。
相続人の数が変わると、1人あたりの相続税の負担額に影響が出る可能性があります。
もし自身の税額が当初より減少した場合は、更正の請求をおこないましょう。

遺言書の発見があった場合

遺産相続では、被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
しかし、相続人に遺言書の存在が伝わっていない場合、誰も気付かずに遺産分割を進めてしまうおそれがあります。
相続税の申告と納税が完了した後に遺言書が発見された場合、遺産分割をやり直さなければなりません。
その結果、課税額が減少した場合は、更正の請求をおこなうことになります。

遺留分の返還が必要になった場合

遺留分とは、法令で保障されている最低限の遺産相続分です。
故人の兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり、これにより本人が希望する限り最低限の遺産相続が可能です。
遺言書で特定の人が遺産をすべて取得するなどし、自身の遺留分が侵害された場合、その相続人は過剰に受け取った人に対して返還を請求することができます。
遺留分の侵害を理由に、他の相続人に遺産の一部を返還する必要が生じた場合、自身の取得額が減ることになるでしょう。
その結果、相続税の負担額も減少するため、すでに申告や納税を終えていた場合は、更正の請求が必要となります。

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相続税で更正の請求を実施する流れ

相続税で更正の請求を実施する流れ

更正の請求を実施するには、手続きに一定の流れがあります。
事前に確認しておきたい主な流れは、以下のとおりです。

必要書類の準備

更正の請求を実施する流れは、必要書類の準備から始まります。
まず用意する必要があるのは、相続税の更正の請求書とその添付書類です。
現在、これらの書類は国税庁のホームページからダウンロードできるため、書類の取得は簡単です。
書類を手元に用意できたら、申告者の住所、氏名、日付、個人番号など、必要事項を記入します。
次に、更正の請求が必要になったことを証明する書類が求められます。
遺産分割協議書や遺言書など、税額が変わる原因となった出来事に関する書類を漏れなく準備しましょう。
さらに、請求者の身元確認のために運転免許証やマイナンバーカードなどが必要です。
また、税額を計算する資料として、修正申告書が求められることがあります。
なお、上記の必要書類は、更正の請求をおこなう方ごとに用意しなければなりません。
複数の方が請求する場合は、それぞれの必要書類が求められます。

税務署への提出

必要書類が用意できたら、税務署に提出します。
提出後、税務署が審査を行い、請求の妥当性を判断します。
審査には約2~3か月かかるため、必要書類を提出したあとは、結果が出るまでしばらく待ちましょう。

結果の通知

更正の請求を実施した方には、審査の結果が書面で通知されます。
審査を通過した方には、更正通知書と国税還付振込通知書が届き、還付金が振り込まれます。
一方、審査を通過できなかった方には、更正する理由がないことを通知する書類が届くでしょう。
この通知書は、請求が認められなかったことを意味しており、税務署からの還付はありません。
審査結果に納得できない場合は、国税不服申立制度の利用や税務訴訟を検討しましょう。

国税不服申立制度

国税不服申立制度とは、自身に課せられた国税について、不服のある処分の変更や取り消しを求める手続きです。
更正の請求が税務署に却下された場合、主に2つの選択肢があります。
1つは国税不服審判所長への審査請求、もう1つは税務署長への再調査請求です。
どちらの手続きにも専門知識が求められるため、弁護士や税理士の支援を受けることをおすすめします。

税務訴訟

税務訴訟は、国税不服申立制度を利用しても納得いく結果が得られなかった場合に起こす手続きです。
訴訟を起こすことで、一度却下された請求が認められる可能性もあります。
しかし、訴訟には高度な専門知識が求められ、勝訴の可能性は一般的に低いとされています。
そのため、税務訴訟を検討する際には、税理士や弁護士などの専門家と十分に相談することが重要です。

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まとめ

更正の請求とは、払い過ぎた相続税の還付を求める手続きで、申告期限から5年以内にしか実施できませんが、特別な事情に該当すれば期限後でも請求が一部可能です。
相続税で還付が必要になるケースには、遺産の分割案が申告期限までにまとまらず、仮の内容で一度申告していた場合などが挙げられます。
手続きの流れは、必要書類を用意するところから始まり、税務署へ提出し、審査結果が書面で通知されるのを待ちます。


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