2024-12-17
購入希望者が見つからず放置している空き家を解決できる制度があるのをご存じでしょうか。
成年後見制度よりも高齢家族の財産を管理しやすい制度があるものの、管理する側の負担が大きいのでは?と不安になるケースもあるでしょう。
今回は、空き家が生まれる原因と家族信託の制度にくわえて、メリットとデメリットを解説します。
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以前までは、結婚しても二世帯で暮らして親の家を子どもの代が引き継ぐ流れが一般的でしたが、現代では核家族化が急速に進んでいます。
親の世代も自宅で介護を受けずに老人ホームへの入居や入院などで、誰も住んでいない状態の家が増えているのです。
まずは、空き家が生まれる主な原因から解説します。
相続人がいない物件に対しては、相続財産管理人専任などの手続きをしたうえで国庫に帰属する決まりがありますが、実際にはこの手続きを放置する方が多くいます。
相続財産管理人専任などの手続きをしなくても、固定資産税増額などの明確な罰則が存在しないためです。
面倒な手続きを回避するために、関係者たちがそれぞれ対応を押しつけあうと、管理されない物件が残ります。
また、法定相続人の間で物件をどのように処分するか話し合いがまとまらないケースも多いです。
誰かが住んだり第三者に貸したりする予定がなければ、法定相続人の代表者が相続登記をしたあとに売却活動で現金化して、相続人全員に分配するのが一般的です。
しかし、相続人全員が売却に同意しなければ、いつまでも手放せないので、放置されてしまいます。
また、幼少期に生まれ育った家だと、相続と同時に手放すのが惜しいと感じる方も多いです。
とくに住む予定はないにも関わらず、無闇に維持してしまうと、管理が疎かになって不動産価値が低下して売却チャンスを逃す原因になります。
現代病である認知症などで判断能力を失った方が土地や建物を所有している場合は、売買契約ができません。
委任状を作成して親族が売却しようにも、重度の認知症を患っていると、代理人を立てる手続きすらできないので、放置せざるを得ない状況に陥ります。
この場合、認知症になった所有者が死亡したあとに相続手続きをおこなって処分するしかありません。
成年後見制度や財産管理委任契約などの対処法もありますが、家庭裁判所などに書類を提出したり、許可をもらったりしなければならないので手間が多くなります。
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空き家の雑草対策!対策が必要な理由と対策方法を解説!
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高齢化が進む日本では、65歳以降の高齢者のうち5人に1人が認知症になるというデータがあるほど社会問題になっています。
介護などの問題がある一方で、財産管理のあり方についても家族で話し合いをするべきです。
そこで、話し合いのなかで検討するべき項目が家族信託です。
家族信託とは、家族が家族のために財産を管理する制度であり、信託法と呼ばれる法律に則って実施される財産管理方法です。
ちなみに、家族信託は法律用語ではないものの、信託は専門用語です。
財産の所有者が委託者として、信頼できる方に受託者となってもらい、財産を託す代わりに管理や処分などの判断・行為を代理でおこなってもらいます。
さらに、管理や処分をおこなって発生した収益を受け取る受益者を定めておくと、高齢の家族が突然認知症になって判断能力がなくなったとしても、財産管理が自由にできるので安心です。
特別な対策をせずにいると、家族が認知症になって判断能力が十分ではないと判断された時点で、財産や資産を凍結されてしまう恐れがあります。
判断能力がない状態で、詐欺やトラブルに巻き込まれないようにするためです。
しかし、財産や資産が凍結されると、親族間であっても管理ができなくなるので、不便が大きくなる可能性があります。
たとえば、認知症になった親を老人ホームや介護施設に入居させたいと思っても、財産や資産が凍結されていると、入居費を子どもが捻出しなければなりません。
数百万から数千万円ほど費用がかかるため、子どもたちの資金から捻出するのは負担が大きいからこそ、元気なうちから管理できる権利を渡しておくのが賢明です。
誰も住んでいない家は劣化の進行速度が速く、築年数が古くなるたびに不動産価値が低くなるため、空き家になるのであれば早く手放すべきです。
家族信託の制度で子どもに財産を処分する権利が得られれば、資産価値が高い状態で現金化できるので、老後の資金や介護費用にも充てられます。
認知症は一度発症すると完治が困難であるからこそ、相続まで財産や資産の管理ができなくなるリスクを防ぐためにも、早いうちから家族信託への加入を検討してください。
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【保存版】空き家は売るべき?貸すべき?メリット・デメリットを解説
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親族の所有している物件が空き家にならないようにするため、家族信託を利用するメリットとデメリットについて解説します。
財産管理をすると、委託者(財産の所有者)の判断能力の有無を問わず、財産や資産を動かせます。
認知症で判断能力がなくなってしまうと、親族であっても、勝手に財産や資産を使ったり処分したりする権利はありません。
成年後見制度のようなものもありますが、手続きが複雑で管理できる範囲も限られているので、あまり利用しやすい制度とはいえません。
あくまで所有者の財産を保護する目的で財産を維持・管理する権利があるだけであり、誰も住んでいない家を売却する行為などは認められないので注意が必要です。
築年数が古くなるほど価値が下がる不動産は、できるだけ早く売却したほうが金銭的なメリットが得られるからこそ、柔軟な管理・処分ができる家族信託を利用するのが賢明です。
また、委託者は死亡した後の信託財産の継承先を定められる「遺言代用型信託」とも呼ばれているので、遺言としての機能も果たします。
遺言代用型信託で手続きをすれば、委託者が死亡した時点で家族信託の契約は破棄されて、委託者が指定した帰属先へ財産が渡ります。
あくまで信託財産に限った話になるので、そのほかの財産継承については別途遺言書の作成が必要になる点のみ理解しておきましょう。
家族信託の手続きや運用には専門家への相談が有効です。
専門家のサポートによって手続きが円滑になり、将来のトラブル回避が期待できます。
財産管理では、受託者の負担が大きくなる可能性があります。
財産や資産を管理できる権利を持つ受託者には、善管注意義務・忠実義務・分別管理義務・信託事務を第三者に委託する際の選任と監督義務などのさまざまな責任がのしかかります。
委託者の生活費・医療費・収益不動産など、細かい収入や出費に関する記録をまとめた帳簿の作成も必要です。
家族の財産や資産を管理する権利が得られる代わりに、領収書などの書類を細かく管理して、長期間にわたり拘束される点を十分に理解しておかなければなりません。
また、家族信託は節税対策の一環ではないので、税金を安く抑える目的で利用するには有効的ではありません。
ただし、法律や税金に関する専門的な知識を身につければ、結果的に節税や相続トラブルの回避につながる可能性はあります。
そのためには、受託者自身が知識を身につけなければならないので、「家族信託=節税」とアピールする専門家には気を付けましょう。
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特定空家とは?認定基準や指定された場合のリスクについてご説明
人口減少とともに認知症患者の増加によって空き家問題が深刻化しています。
認知症で判断能力が不十分と診断されると、財産や資産が凍結される恐れがあるので、健康なうちから家族信託の制度などの対策を検討するべきです。
親族が自由に誰も住んでいない物件を売却できるなどのメリットがある代わりに、受託者の責任が大きくなるので気を付けましょう。
資格:宅地建物取引士
高く早く売るというのを基本に売主様がトラブルに巻き込まれないよう細心の注意を払って納得のご売却ができる豊富な経験があります。また、しつこい営業は決して致しません。礼節とマナーをもって丁寧にフォローさせていただきます。
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