2024-10-22
複数の兄弟姉妹などで不動産を相続した場合、共有名義として全員が所有することがあります。
こうした共有名義の不動産を空き家状態のまま放置してしまうと、さまざまなリスクが表面化することも珍しくありません。
そこで今回は、共有名義の空き家を放置するリスクにはどのようなものがあるのか、解体処分する場合の費用も解説します。
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共有名義の不動産は、足並みをそろえた意思決定が困難になる場合があり、空き家状態として放置されやすいともいえます。
共有名義の空き家を放置した場合に、どのようなリスクがあるかチェックしてみましょう。
一般的な空き家においては、定期的な訪問でメンテナンスや掃除をおこないます。
こうした日常的な管理は所有者がおこなうものですが、共有名義の空き家では誰がどのくらい負担するかをめぐり、不満が発生するリスクがあります。
空き家の近くに住んでいる方が管理すれば良いと思われるかもしれませんが、毎月1~2回の訪問が必要となり、時間も手間もかかることには注意が必要です。
また、日常的な空き家の管理に関する負担だけでなく、固定資産税の負担についてもリスクがあります。
誰も住んでいない空き家であっても、毎年固定資産税の支払いが必要となりますが、共有者が全員で分担しなければトラブルになりかねません。
もちろん、固定資産税とともに空き家の修繕などにかかる費用も、共有者が分担するコストです。
共有名義の空き家を放置し、定期的な管理がおこなわれていない場合、周辺に悪影響をおよぼし、近隣トラブルが発生することもリスクのひとつです。
空き家の所有者が1人であれば、責任の所在がわかりやすいものの、共有名義の空き家では責任を押し付け合う形となることが考えられます。
そして、空き家の管理体制がなかなか整わないと、空き家の劣化が急速に進み、近隣に迷惑をかけることも珍しくありません。
管理がいき届かず放置された空き家は、放火のターゲットとなりやすいほか、不法侵入や不法投棄といった犯罪の温床になりやすいこともリスクといえます。
手入れがされていて人の目に触れやすい空き家は、犯罪のターゲットになりにくい一方で、誰も見ていない空き家は犯罪者が好む場所になってしまいます。
犯罪の現場となってしまうと、空き家の価値が下がるだけでなく、放火の被害は近隣にも深刻な影響を与えることは注意点です。
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放置状態の共有名義の空き家には、管理をめぐるトラブルや近隣トラブルが発生しやすいというリスクがあります。
このほかにも注意しなければならないのが、空家等対策特別措置法の対象になるリスクです。
空家等対策特別措置法とは、倒壊などのリスクを持つ空き家問題解消を目的として2014年に定められた法律です。
空家等対策特別措置法では、放置され適切な管理がなされていない空き家を特定空家とよび、行政による助言・指導・勧告といった対応を可能にしています。
こうした行政からの働きかけを無視し続けて危険な状態が続いた場合、過料や強制撤去などの、より強い対応が可能になったことが空家等対策特別措置法の特徴です。
さらに、特定空家として勧告を受けた不動産は、住宅用地の特例措置といった優遇制度を受けられなくなることもポイントです。
住宅用地の特例措置とは、住宅のある土地は固定資産税の優遇措置が受けられるものですが、特定空家として勧告を受けると税制上のメリットがなくなります。
固定資産税の金額は、土地と建物それぞれで計算します。
土地の固定資産税については、土地の固定資産評価額×1.4%の税率で計算し、建物の固定資産税は建物の固定資産評価額×1.4%の税率で計算します。
ただし、住居用の建物がある不動産の場合、一定の面積の土地に対する固定資産税率は本来の6分の1です。
この減税が、住宅用地の特例措置ですが、特定空家に指定された場合にも、住宅用地の特例措置の対象外となります。
したがって、放置された特定空家では、土地の固定資産税が最大で6倍になり、納税負担が重くなることが特徴です。
空家等対策特別措置法に基づいて、特定空家に指定された不動産に対しては、自治体から最初に助言がおこなわれます。
これに対して改善がされないと、指導・勧告・命令と対応が進み、命令に対して改善がされない場合には、50万円以下の罰金が科されます。
空家等対策特別措置法に基づいた、行政のいかなる働きかけにも応じない場合におこなわれるのが、行政代執行による強制的な空き家の解体です。
行政が、所有者に代わって空き家の解体をおこないますが、解体にかかった費用は共有名義の不動産の所有者に請求されます。
この費用を支払えないと、預貯金・不動産・自動車といった資産を差し押さえられるため注意しましょう。
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共有名義の空き家を所有している場合、空家等対策特別措置法に基づく特定空家に指定されるリスクを回避するために、建物を解体しようと考えるかもしれません。
空き家を解体する前に、解体処分にかかる費用や解体によるメリット・デメリットを考えることも大切です。
木造住宅の解体費用は、120万~300万円ほどが相場価格です。
また、鉄骨造の住宅では150万~330万円、鉄筋コンクリート造の住宅は180万~360万円が費用相場となります。
解体処分費用は、立地条件によっても相場に差があります。
一般的に、スペースに余裕のある場所よりも、建物が密集した都会のほうが、解体処分費用が割高です。
さらに、狭い道路やアクセスしにくいエリアにある空き家は、重機の搬入に手間がかかることから、解体処分費用が高くなります。
このほかにも、解体処分費用のなかには、作業にかかる労務費用、廃棄物の分別などの処理費用、廃棄物を運ぶ運搬費用も含まれます。
さらに、解体処分工事のための足場や養生にも費用が必要です。
共有名義の空き家を解体処分した場合、建物の管理をめぐるトラブルや費用負担から解放されることがメリットです。
また、空家等対策特別措置法の対象となるリスクがなくなり、安全性の高い土地が残ることもメリットとなります。
さらに、放置され劣化が進んだ空き家が撤去されたことにより、土地活用の選択肢が増えることもメリットのひとつです。
共有名義の空き家を解体処分する場合、さまざまな場面でお金がかかることがデメリットです。
まず、解体処分工事に費用がかかり、売却を前提としない解体では売却金を解体費用に充てることもできません。
こうした費用負担は共有者が負担しますが、管理費用と同様に分担をめぐりトラブルになることも考えられます。
また、放置された空き家を解体して土地のみの状態にした不動産は、住宅用地の特例措置の対象外となることもデメリットのひとつです。
放置した結果、特定空家に指定された場合だけでなく、住宅のない土地に対しては固定資産税が一定の面積まで6倍になります。
固定資産税は、不動産を所有している限り、払い続ける義務がありますので、空き家を解体した後に長期間更地として所有し続けるのはおすすめできません。
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共有名義の空き家を放置してしまうと、管理の負担をめぐるトラブルや近隣トラブルが発生しやすくなるリスクがあります。
また、危険な空き家については、空家等対策特別措置法の対象になるリスクへの注意が必要です。
空き家の解体処分をお考えならば、解体費用や解体のメリット・デメリットもチェックしてみましょう。