2025-01-21
これまで不動産を相続したとしても、所有者を変更するための相続登記は義務化されていませんでした。
しかし、現在では相続登記が義務化されているため、不動産相続が発生したら注意する必要があります。
そこで今回は、不動産の相続登記が義務化された背景と法改正の内容、相続したくない場合の対処法を解説します。
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相続登記の義務化についてご存じでも、なぜこのような法改正がおこなわれたかをご存じの方は少ないかもしれません。
不動産の相続登記義務化の背景にある社会問題をチェックして、相続登記の必要性について考えてみましょう。
不動産の相続登記が義務化された背景には、所有者がわからず管理も困難な所有者不明土地が増加していることがあります。
長く相続登記がおこなわれないことが原因のひとつとされ、公共事業や災害復興事業が滞るなどの問題を引き起こしています。
また、古い住宅が放置されて危険な状態になっているケースもあり、早期に所有者を確定させることが大切です。
何代も相続登記を怠ると、相続人が世代を重ねるうちに増えていき、権利関係が複雑化する問題が生じやすくなります。
いわゆる「メガ共有」と呼ばれる状態に陥ると、あとから正式に相続登記をおこなおうとしても、相続人が多すぎたり協力を得られなかったりしてトラブルになりやすいため、法改正で義務化が進められました。
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不動産の相続登記が義務化されたと知っていても、どのような手続きが必要かわかりにくいかもしれません。
不動産相続を予定しているならば、義務化の内容とともに罰則について把握しておくことが大切です。
まず、不動産の相続登記が義務化されたのは、2024年4月1日からです。
具体的な内容としては、相続登記の申請義務化となります。
不動産を相続した場合、相続を知った日から3年以内に相続登記の申請をおこなわなければなりません。
また、2024年4月1日以前に相続した不動産についても、相続登記の申請が義務付けられました。
ただし、過去の不動産相続については相続を知った日から3年以内の期限が適用されず、2027年3月末日までの猶予期間が設けられています。
相続登記を済ませていない不動産をすでにお持ちである場合や、家族が相続登記を済ませていない場合には、早めに申請しましょう。
2024年4月1日からの法改正により、登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記の義務付けが始まりました。
不動産を相続したタイミングで相続登記をおこなうだけでなく、最新の情報を登録するようになったことが、義務化で変わったポイントです。
氏名や住所に変更があった日から2年以内に登記簿の情報をアップデートすることが義務付けられたことにより、所有者不明土地の問題解決が期待されます。
相続登記の義務化と同じ2024年4月1日からの変更点として、相続人申告登記の創設が挙げられます。
これは、遺産分割協議が成立していない場合でも、罰則の対象とならないために一定の申請を受け付けるものです。
相続人申告登記では、相続が発生していることや相続人が判明していることなど、その時点で申請できる情報を登録します。
義務違反に対する罰則はある?
不動産の相続登記の義務を守らないと、場合によって罰則の対象になります。
2024年4月1日からは3年以内の相続登記が義務になりましたが、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料を科せられることが注意点です。
ただし、期限を超過したら一律で過料が科せられるわけではなく、その正当性について裁判所が判断することになります。
また、氏名や住所などに変更があった場合について、2年以内の登記を怠った場合には5万円以下の過料が課せられることがあります。
氏名や住所の変更についても、相続登記と同様に正当な理由があれば罰則の対象にはなりません。
ただし、法改正から間もない現時点では、正当な理由に該当する具体的な事象の定義をめぐる問題があります。
今後、どのような場合であれば罰則対象とならない正当な理由になるか、法務省の通達などを注視することが大切です。
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不動産の相続登記が義務化されたとしても、相続したくないと考える方がいらっしゃるでしょう。
このような場合にはどのような手続きが必要か、具体的な内容を見てみましょう。
2021年4月に成立したのが、相続土地国庫帰属法です。
これより前にも土地所有権放棄が認められてはいましたが、厳しい要件をクリアする必要があり実際に所有権を手放すことは困難でした。
とくに、相続放棄を選んだ場合には不動産だけでなく預貯金なども放棄する必要があり、実質的に不動産に限定した所有権放棄は不可能だったといえます。
しかし、この相続土地国庫帰属制度により、一定の条件下で不動産のみの放棄が可能になりました。
相続土地国庫帰属制度を利用した場合、不動産は国庫に帰属させる一方で、預貯金などそのほかの財産は相続が可能です。
相続土地国庫帰属制度で国庫への帰属が認められる不動産の条件として挙げられるのが、国が利用するうえで支障がないことです。
具体的には、古い建物がない更地の状態であること、権利関係において担保などがない状態であること、土壌汚染がないことなどが挙げられます。
また、この相続土地国庫帰属制度は、条件を満たせばすぐに利用できるものではありません。
不動産相続における例外となる制度ですので、法務大臣へ承認を求める必要があります。
さらに、兄弟や姉妹で共有している不動産の場合には、共有者が全員で申請しなくてはならないことが注意点です。
相続土地国庫帰属制度を利用し、相続したくない不動産を手放す場合、法務大臣の承認後に負担金を支払う必要があります。
この負担金とは、相続人が土地の管理負担から免れる代わりとして、国が負担する管理費用の一部を支払うものです。
負担金として支払うのは、管理にかかる10年分の費用に相当する金額です。
宅地については、原則として広さに左右されず20万円の負担金が必要となります。
ただし、農地(田畑など)の場合には、転用や農地以外への用途変更などの要件を満たしていない限り原則として国庫帰属は認められず、申請前に農地でなくす手続きが必要になることがあります。
農地のままでは対象外となる場合が多いため、実際の負担金の計算や申請要件は個別に確認しましょう。
ただし、市街化区域や用途地域に指定されている土地だと、面積に応じて別途負担金が計算されます。
負担金が納付されたタイミングで不動産は国庫に帰属しますが、負担金の通知から30日以内に支払いがない場合には法務大臣の承認が失効することが注意点です。
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2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化されましたが、この背景には所有者不明土地の増加やメガ共有などの社会問題があります。
相続登記の義務化では、所有者の氏名や住所が変更した場合にも、情報の更新が義務付けられました。
不動産を相続したくないならば相続土地国庫帰属制度を利用できますが、承認や負担金が必要になることは注意点です。
資格:宅地建物取引士
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